トンネル栽培に挑戦 冬も菜園を有効活用
園芸研究家●成松次郎

トンネル栽培は野菜を寒さから守り、生育を促進させることで露地栽培よりも早い収穫ができます。また、トンネルがけをすれば霜に当たりにくいため、野菜が長持ちし長期間収穫できるメリットもあります。
[野菜の種類と品種を選ぶ]寒さに強い根菜類やホウレンソウ、小松菜などの葉菜類は、中間地(温暖地)では本格的に寒くなる11月下旬ごろからトンネルがけをすれば、冬から春の端境期に収穫できます。品種選びでは耐寒性があり、寒さに当たってもとう立ち(つぼみができ、花茎が伸びる)が起こりにくい品種を選ぶと良いでしょう。
[被覆資材の選び方]保温用フィルムは、「農ビ」「農PO」などがありますが、軽くて、べたつかない「農PO」が多く使われています。穴開きタイプは保温効果がやや劣るものの、換気作業が省力化でき、穴から雨水が入るため使い勝手が良いでしょう。
不織布は保温や霜よけ効果があり、軽くて透光性も高いので野菜に直接かけたり(べたがけ)、トンネル内の野菜の上に敷いて保温効果を高めます。
マルチフィルム(以下、マルチ)は地温を上げて、生育促進効果を高めます。地温上昇効果の高い「透明」や、雑草防止効果の高い「黒」などがあり、栽植様式に合わせた幅や穴開きの有無などのさまざまなタイプがあります。
支柱の長さは、ベッド幅、トンネルの高さ、地中に挿し込む長さから算出します。例えば、ベッド幅80cm、トンネルの高さ40cm、地中に挿し込む長さ約20cm(両側で約40cm)では180cm程度の長さが必要です。
防寒資材の特徴などについてまとめた表を参考にしてください。
[資材活用のポイント]晴天日にはトンネル内の気温は外気より高くなり、夜間は外気に近い温度になります。トンネル栽培は日中の気温を生育に適切な温度(15~25度)に少しでも長く保てるものの、夜間の保温には十分ではありません。そのため、氷点下の時間が長いと凍害を被ることがあるため、不織布によるべたがけも必要です。
春に向かって光が強くなったら、トンネル内は30度を超えるため、温度が上がり過ぎないように換気をします。フィルムの裾を開閉する「裾換気」と、フィルムに直径10cm程度の穴を開ける「穴開け換気」があります。資材の再利用や換気の手間を考え、種まき時期にかかわらず穴開き率(フィルム表面積に対する穴開き面積の割合)1、2%程度の資材を選択すると換気の手間を省けます。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。

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