種の発芽条件と種まきのこつ
園芸研究家●成松次郎
発芽には適度な水分、温度と酸素が必要で、種類により光の影響を受ける場合もあります。種まきのこつをつかんで野菜作りをスタートしましょう。
[発芽の三要素と光]
(1)水分
発芽は、種が水を吸うことから始まります。吸水量は種類によって異なり、イネ科の種は重さの25~30%を吸水し、マメ科の種は重さの80~120%を吸水して発芽します。吸水量が多過ぎても少な過ぎても良くありません。硬実のニガウリ、オクラなどは果皮が水を通しにくいので、まく前に一晩水に浸しておきます。
(2)温度
多くの野菜は20~25度が発芽適温で、30度程度の高温を好むもの(ナス・スイカ・カボチャなど)や15~20度の低温が適するもの(レタス・ホウレンソウなど)があります(表1)。
(3)酸素
発芽は呼吸を伴うため、十分な酸素が必要です。種が土中深くに埋もれたり、水没すると酸素不足となり、発芽が悪くなります。
(4)光
光が必要な好光性種子にはレタスなどのキク科野菜やミツバなどのセリ科、暗黒で発芽の良い嫌光性種子にはヒガンバナ科・ナス科・ウリ科野菜などがあります(表2)。
[種まきのこつ]
(1)新しい種を使う
種袋には発芽率や有効期限が表示されています。古い種ほど発芽能力が落ちるので、新しい種を使いましょう。
(2)まき床を均平に
まき床にでこぼこがあると、種が土に埋まる深さや土の乾湿にむらが出るので、板切れなどで土を平らにします。
(3)まく量が多過ぎない
種袋の種を全て使い切ってしまおうとすると、ついつい厚まきになりがちです。こうなると間引きの手間が増えます。間引きの遅れは株立ちの密生を招き、株がヒョロヒョロに伸びてしまいます。
(4)覆土が厚過ぎない
種の直径の3倍程度に土をかぶせるのが標準です。好光性種子は種が隠れる程度に覆土を浅くします。覆土の後は手で軽く土を押し付けて鎮圧し種と土が密着するようにします(図1)。
(5)発芽までは乾燥させない
種は水を含むと直ちに活動を始めますので、発芽までの灌水は欠かせません。発芽後は灌水(かんすい)を控えめにして、しっかりした苗に仕上げます(図2)。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
- 種の発芽条件と種まきのこつ
- パイプハウスを建てて、冬でも野菜を作ろう
- 緑肥と対抗植物 栽培環境を改善
- スイスチャード カラフルな葉は観賞用にも
- 夏の高温&風雨対策のポイント
- スイートコーンの抑制栽培 害虫対策を万全に
- 芽キャベツ 追肥と摘葉で大球を作る
- キュウリ 追肥・水やりで長期収穫
- ゴマ 暑さと乾燥に強い香味作物
- 小玉スイカ 甘みが強く手頃な大きさ
- 春まきキャベツ 育苗管理が肝心
- 菜園の土壌管理 野菜の種類に合わせた土づくり
- 寒起こしと天地返し 農閑期に行う土づくり
- 小松菜のトンネル栽培 寒さでうま味が増加
- ラディッシュ サラダの彩りに
- サイシン 夏に強い中国野菜
- ナバナ 春に先駆けて季節を味わう
- トレビス 苗作りは十分な灌水を
- ニンジン 適期の種まきと灌水で発芽を万全に
- ケール 害虫の予防を万全に
- シソ さまざまな用途を楽しむ
- リーキ トロリとした食感を楽しむ
- 品種の選び方 野菜作りの第一歩
- ホウレンソウのトンネル栽培 冬の寒さでおいしさアップ
- チンゲンサイ シャキシャキとした歯触りを楽しむ
- 余った種を保存 乾燥と低温で
- 葉ダイコン 防虫ネットで虫害を回避
- タアサイ 霜に当たるとおいしさが増す
- カラシナ ピリッとした辛みを楽しむ
- カリフラワー 純白な花蕾を適期に収穫
- ラッカセイ ゆでれば甘く、煎(い)れば香ばしい
- カボチャ 強健で育てやすい
- ルバーブ 香気と酸味のあるジャムを楽しむ
- ニラ 長い期間収穫を楽しむ
- カブのトンネル栽培 適切な温度管理を心掛ける
- 畑仕事に便利な農具 快適で楽しい作業にするために
- ソラマメ マメ科野菜の連作を避ける
- ニンニク 適期に植え付け、追肥と灌水を行う
- シュンギク 収穫後に花も楽しもう
- ミズナ(キョウナ) 小株から大株まで楽しむ
- ブロッコリー 側花蕾を春まで取り続ける
- ゴーヤー(ニガウリ) 緑のカーテンにも最適
- トマト 完熟でおいしさアップ
- ミツバ 香りが良く、お吸い物に重宝
- ニンジンのトンネル栽培 とう立ちさせない温度管理を
- 落ち葉堆肥と生ごみ堆肥
- 野菜の保存・貯蔵 温度・湿度に配慮して
- コマツナ べた掛け資材で害虫を防ぐ
- カブ 適期に間引きを行う
- エンドウ マメ科の連作に注意
- 小松菜のトンネル栽培 寒さでうま味が増加