菜園の土壌管理 野菜の種類に合わせた土づくり
園芸研究家●成松次郎
家庭菜園では多くの種類を栽培しますので、それぞれの特性に合わせた土壌管理が必要です。
[連作と輪作]
同じ土地に同じ野菜を連続して作ることを連作といいます。しかし、連作すると生長に障害が出る野菜があります。連作障害の原因は多様ですが、病害によるものが最も多く、次いで土壌の悪化によるものとなっています。
エンドウは一度作ると、7年は作れません。トマト、ゴボウなどは5、6年、インゲンマメ、サトイモなどは3、4年、キュウリ、ホウレンソウなどは1、2年です。カボチャ、タマネギ、サツマイモのように連作しても障害の出にくい野菜もあります(表1)。
同じ科に属する近縁な野菜は似た性質を持っているため、病害虫と肥料の吸収が共通しています。そのため、連作すると土に生息する病害虫が増え、微量でも必要な肥料成分が不足して生長を妨げることがあります。
そのため特性の異なる野菜を上手に組み合わせた一定の順序で作付け(輪作)をしましょう。
[野菜の適性酸度]
雨が多い日本はカルシウム(石灰)やマグネシウム(苦土)が流れやすく、酸性土になりがちです。野菜の生育に適した弱酸性(pH6・0~6・5)とするためにカルシウムとマグネシウムを含む石灰資材を投入します。酸性土が改良されると土壌微生物の働きが活発となって、有機物の分解を早める効果もあります。
野菜の種類によっては酸性を好むものもあり、野菜の種類に適した酸度(pH)に調整することが大切です。ジャガイモ、スイカはpH5・0~5・5でよく育ちます。一方、ホウレンソウ、タマネギは特に酸性に弱く、発芽してもしばらくすると枯れてしまいます(表2)。
酸性土壌ではアルミニウムイオンが溶け出し、ホウレンソウなどの根を阻害するからと考えられています。
[酸性土壌の矯正]
土の酸度を調べる診断キット(図1)や、土に直接差し込んで測定する土壌酸度測定器があります。石灰資材を過剰に与えると微量要素の吸収を妨げる恐れがあるため、測定値に応じた石灰資材を施します。施用量は土壌の種類によって異なりますが、一般的にpHを1上げるには粒状の苦土石灰では1平方m当たり150~200gです。なお、石灰資材は窒素肥料や窒素分の多い堆肥と一緒に施すと、アンモニアガスが発生し、窒素分が逃げてしまいます。そのため石灰資材と窒素肥料を同時に与えてはいけません。種まきや植え付け2週間前に石灰資材をまいてよく土と混ぜておき、1週間前に化成肥料と堆肥を施用します。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
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