ナス 長い期間の収穫を楽しむ
園芸研究家●成松次郎

ナスのふるさとは、日照量が多く高温のインドです。夏の酷暑でも適切な管理を行えば、夏から秋まで長く収穫を楽しめます。煮る、焼く、揚げる、漬けると用途は多様です。「ナス紺」と呼ばれる色素はアントシアニンの一種で、活性酸素を抑制し、血管をきれいにする効果があります。
[品種] 長卵形の「千両二号」(タキイ種苗)、長形の「筑陽」(タキイ種苗)、また地方には在来品種の小ナス、丸ナス、水ナスなど多様な品種があります。
[苗の選び方] ナスの育苗期間は2カ月程度と長いため、苗の購入が便利で、特に土壌病害の青枯病を予防するためには、接ぎ木苗がお薦めです。良い苗は、①本葉が7~9枚ほどで、双葉が残っている ②幹が太くて、全体的にずんぐりしている ③葉脈は鮮やかな紫色 ④1番花、あるいはそのつぼみが付いている ⑤根はポットの底から出そうなくらい、しっかり張っているものです。なお、市販苗が若苗の場合は、一回り大きいポットで1番花が咲くまで育てましょう。
[畑の準備] 植え付け2週間前に1平方m当たり苦土石灰100gをまいて耕しておきます。1週間前に幅100~120cmの栽培床を作り、中央に深さ20cmの溝を掘り、溝1m当たり化成肥料(NPK各成分10%程度)200gと堆肥2、3kgを施し、よく混ぜておきます(図1)。

[植え付け] 中間地では遅霜の恐れのないゴールデンウイークが適期で、1条植えでは株間60cmとし、ポリフィルムでマルチをして地温を上げておきます。
[誘引・整枝] 植え付けと同時に仮支柱を斜めに挿し、株を支えます。1番花の下から出る勢いの良い2本の側枝を残し、他はかき取ります(3本仕立て)。その後、1m以上の支柱2、3本を交差させて固定します(図2)。

[追肥・灌水(かんすい)] 収穫が始まる頃からマルチフィルムの裾をめくって、1平方m当たり化成肥料50g程度を株元にまき、土寄せします。その後、2週間置きに畝の裾に同量を収穫中休みなく与えます。草勢の判断目安は、健全な花は花柱(雌しべ)がやく(雄しべ)の上に出ている状態です(図3)。また、みずみずしいナスを採るには、十分な灌水が必要で、特に高温乾燥期には毎日灌水します。

燥期には毎日灌水します。
[更新剪定(せんてい)]中間地では盛夏(7月中旬~8月上旬)になると、枝が込み合い、葉が茂って果実への日当たりが悪くなってきます。この頃に全体の3分の1~2分の1の枝を切り詰める剪定を行い、追肥をして十分な灌水をします(図4)。

約1カ月後に良い秋ナスが収穫できます。
[病害虫防除]アブラムシ類、ハダニ類にはマラソン乳剤など、テントウムシダマシにはスミチオン乳剤などで防除基準に従って防除します。
[収穫] 開花後20日程度のつやのある若い果実を収穫します。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
- ナス 長い期間の収穫を楽しむ
- 果菜苗の作り方と選び方 野菜作りは苗半作
- 種の発芽条件と種まきのこつ
- パイプハウスを建てて、冬でも野菜を作ろう
- 緑肥と対抗植物 栽培環境を改善
- スイスチャード カラフルな葉は観賞用にも
- 夏の高温&風雨対策のポイント
- スイートコーンの抑制栽培 害虫対策を万全に
- 芽キャベツ 追肥と摘葉で大球を作る
- キュウリ 追肥・水やりで長期収穫
- ゴマ 暑さと乾燥に強い香味作物
- 小玉スイカ 甘みが強く手頃な大きさ
- 春まきキャベツ 育苗管理が肝心
- 菜園の土壌管理 野菜の種類に合わせた土づくり
- 寒起こしと天地返し 農閑期に行う土づくり
- 小松菜のトンネル栽培 寒さでうま味が増加
- ラディッシュ サラダの彩りに
- サイシン 夏に強い中国野菜
- ナバナ 春に先駆けて季節を味わう
- トレビス 苗作りは十分な灌水を
- ニンジン 適期の種まきと灌水で発芽を万全に
- ケール 害虫の予防を万全に
- シソ さまざまな用途を楽しむ
- リーキ トロリとした食感を楽しむ
- 品種の選び方 野菜作りの第一歩
- ホウレンソウのトンネル栽培 冬の寒さでおいしさアップ
- チンゲンサイ シャキシャキとした歯触りを楽しむ
- 余った種を保存 乾燥と低温で
- 葉ダイコン 防虫ネットで虫害を回避
- タアサイ 霜に当たるとおいしさが増す
- カラシナ ピリッとした辛みを楽しむ
- カリフラワー 純白な花蕾を適期に収穫
- ラッカセイ ゆでれば甘く、煎(い)れば香ばしい
- カボチャ 強健で育てやすい
- ルバーブ 香気と酸味のあるジャムを楽しむ
- ニラ 長い期間収穫を楽しむ
- カブのトンネル栽培 適切な温度管理を心掛ける
- 畑仕事に便利な農具 快適で楽しい作業にするために
- ソラマメ マメ科野菜の連作を避ける
- ニンニク 適期に植え付け、追肥と灌水を行う
- シュンギク 収穫後に花も楽しもう
- ミズナ(キョウナ) 小株から大株まで楽しむ
- ブロッコリー 側花蕾を春まで取り続ける
- ゴーヤー(ニガウリ) 緑のカーテンにも最適
- トマト 完熟でおいしさアップ
- ミツバ 香りが良く、お吸い物に重宝
- ニンジンのトンネル栽培 とう立ちさせない温度管理を
- 落ち葉堆肥と生ごみ堆肥
- 野菜の保存・貯蔵 温度・湿度に配慮して
- コマツナ べた掛け資材で害虫を防ぐ
- カブ 適期に間引きを行う
- エンドウ マメ科の連作に注意
- 小松菜のトンネル栽培 寒さでうま味が増加