スイートコーンの抑制栽培 害虫対策を万全に
園芸研究家●成松次郎

 旬の時期とはひと味違う味わいを楽しめるように遅く収穫する方法、抑制栽培に挑戦してみませんか。中間地では7月中旬~8月中旬に種まきし、種まき後88日程度で収穫できます。8月下旬以降の種まきでは栽培後半の気温が不足し、穂が十分に肥大しません。
[品種]抑制栽培では生育初期が高温で経過するため、早生品種では十分な葉数が展開する前に出穂し、穂の肥大が不足します。そのため、高温期でもじっくり生長する中生品種の「ゴールドラッシュ90」(サカタのタネ)や「おひさまコーン88」(タキイ種苗)などが適しています。
[畑の準備]畑1平方m当たり苦土石灰100gをあらかじめ散布しておきます。1平方m当たり化成肥料(NPK各成分10%)200gと堆肥2kgを全面に施し、土とよく混ぜておきます(図1)。2条まきでは、幅90~100cmの栽培床(ベッド)を作り、ベッドを平らにならした後、地温の上昇を防ぐ白マルチをします。

[種まき・間引き]株間30cm程度、1カ所3、4粒の点播(てんぱ)にし、害虫予防のため防虫トンネルで被覆します(図2)。なお、1、2株の栽培や1列のみでは花粉が不足しやすいので10株以上にまとめて栽培してください。草丈10~15cmで生育の良い1株を残し、間引く苗をはさみで切り取り1本立ちにします(図3)。


[追肥・水やり]1回目の追肥は草丈50~60cmの頃、1平方m当たり100gをベッドの両側に与え、株元へ土寄せします。雄穂が出る頃に同様の量を通路に施し中耕します。株元から2、3本の脇芽が出ますが、特に取り除く必要はありません(無除けつ)。その後、雌穂が2、3本付き、上の1番穂が大きくなるので、これを収穫します。下に付く穂はあまり大きくならないため、残しておいても構いません(無除房)(図4)。晴天が続き水不足となると子実の肥大に影響するため、十分な水やりをします。

[病害虫防除]アワノメイガやアブラムシなど害虫が多く飛来する作型のため、予防的な農薬散布が必要です。雄穂が出る頃にアワノメイガが飛来して、幼虫は雄穂や雌穂(子実)に食い入ってしまいます。雄穂の出始めに登録農薬を株の上から散布します。収穫期には防鳥ネットなどでカラスやハクビシンの被害を防ぎます。
[収穫]収穫適期は絹糸が出てから25日前後ですが、絹糸抽出期以降の気温によって前後しますので、予定日が近づいたら試しむきして、先端粒の張り具合を見て収穫適期を決定します。朝もぎがみずみずしくおいしいので、早朝に収穫しましょう。
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