コリアンダー(パクチー) エスニックな香りと味を楽しむ
園芸研究家●成松次郎

コリアンダーは地中海原産のセリ科野菜。中国ではシャンツァイ(香菜)、タイではパクチーと呼ばれ、中華料理やエスニック料理に欠かせない食材です。セリに似た濃緑色の葉には独特の強い香りがあり、肉料理の添え物や炒め物に使います。成熟した種子は芳香とスパイシーな風味があり、香味料になります。比較的冷涼な気候を好み、中間地などでは夏には高温を避けるため、遮光するとよく育ちます。
中間地では冬を除いて周年栽培できますが、種まきに適しているのは春(4月)と秋(9月)です。収穫は種まき後約2カ月で始められます。
[品種]「サワディ」(トキタ種苗)、「ぱくぱくパクチー」(サカタのタネ)などがありますが、一般には「コリアンダー」や「パクチー」の名で販売されています。
[畑の準備]事前に1平方m当たり苦土石灰200gを菜園全体に散布して耕しておきます(図1)。その後、堆肥2kgと化成肥料(NPK各成分10%程度)100gを施し、土とよく混合し、幅90cmのベッド(栽培床)を作ります。

[種まき]ペンチなどを使い、種を軽く押して割れ目を入れ、一晩水に浸すと発芽が早まります。小型の連結ポットや7・5~9cmポットに4、5粒まき、5mm程度に浅く覆土します。一つの殻に二つの種が入っているため、通常1粒から2株発芽しますが、その後間引いて本葉4、5枚の1株立ちの苗に仕上げます(図2)。間引きの際は残す株を傷めないように根元をはさみで切り取ります。じかまきの場合は、条間30cm、約1cm間隔の筋まきをし、徐々に間引いて、最終株間を約15cmにします。

[植え付け]幅90cmのベッドでは条間30cmの溝を3条に切り、苗を約15cm間隔で植え付けます(図3)。

[灌水(かんすい)]水分を多く必要とするため、土が乾いたら少量を回数多く灌水します。夏の暑さ対策には50%程度の遮光ネットでトンネル被覆します(図4)。夜間や曇雨天時は取り除くのが良いでしょう。終日遮光をする場合は20%程度を使います。

[病害虫の防除]アブラムシが付いたときは、見つけ次第、手でつぶしたり、登録農薬で駆除します。ハダニは主に葉裏に寄生し白い斑点やかすれた症状を示すので、登録農薬で防除します。農薬に頼らない防除法として防虫ネットのトンネル被覆がお勧めです。
[収穫]草丈が30~40cm、葉数が10~15枚くらいになったら、抜き取って収穫ができますが、下葉を順次切り取るのも良いでしょう。春と秋では、1、2週間に1、2枚ずつ収穫できます(図5)。花茎が伸びてきたら、常に摘み取ってください。

※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
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