サヤインゲン 連作障害に注意
園芸研究家●成松次郎

インゲンは中南米原産のつる性の野菜で、日本には17世紀に隠元禅師によって伝えられました。ベータカロテン、カリウム、ビタミンB群が豊富で、食物繊維もバランス良く含んでいます。比較的冷涼な気候を好み、生育適温は15~25度で、30度以上の高温と10度以下で生育が阻害されます。
[品種]つるあり種とつるなし種があり、つるあり種は「いちず」(カネコ種苗)、「ケンタッキーワンダー」(各社)など、つるなし種は「ベストクロップキセラ」(雪印種苗)、「サクサク王子」(サカタのタネ)などがあります。
[畑の準備]連作障害が出やすい野菜のため、1度栽培した後は同じ畑で3、4年間、他の野菜を作ります。種まき(植え付け)2週間前に1平方m当たり苦土石灰100gをまいて耕しておきます。その後、つるあり種は畝幅120cm、つるなし種は90cmとし、施肥は1平方m当たり化成肥料(NPK各成分10%程度)200g、堆肥2kgを施用し、黒マルチを張ります(図1、2)。


[種まき]つるあり種では条間60cm、株間40cm、つるなし種では条間45cm、株間30cmとし、3、4粒まいて本葉2、3枚で間引いて2本にします。発芽の頃の鳥害を避けるためにも不織布のべたがけをします。なお、育苗してから植え付けることもできます。この場合、9cmポリポットに4、5粒まいて初生葉(図3)が開いた頃に2本に間引き、本葉1、2枚のときに植え付けます。

[誘引]つるあり種では支柱やネットを使ってお互いが絡み合わないようつるを誘引します(図4)。

親づるは支柱の高さに届いたら摘心し、子づるは混み具合を見て摘心します。つるなし種では1m程度の棒を立てて倒伏を防ぎます。
[追肥]草丈20cmの頃にマルチをめくって1平方m当たり化成肥料50gを施用し、株元に土寄せします。つるあり種では収穫始めにさらに同様に追肥をします。畑が乾燥すると花落ちや変形したさやが増えるため、灌水(かんすい)を行いましょう。
[病害虫の防除]つるなし種では防虫ネットでトンネル被覆をして害虫を回避します。葉縁が巻いたように縮む症状はアブラムシによる被害、葉の葉緑素が抜けて白くなる症状はハダニの被害なので、マラソン乳剤などの登録農薬で防除します。
[収穫]開花後10~15日くらいで、子実の膨らみが目立たないうちの若いさやを気温の低い朝に収穫します。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
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