ラッカセイ ゆでれば甘く、煎(い)れば香ばしい
園芸研究家●成松次郎
ラッカセイの根には、根粒菌が共生し、空気中の窒素を植物に供給するため、窒素の少ない土壌でも生育できます。温暖地では種まき適期は5月中旬~6月中旬です。
[品種]
ゆで豆向きには、早生の「郷の香」、晩生の「おおまさり」などがあります。煎り豆向きで晩生の「千葉半立」、中生の「ナカテユタカ」、やや早生で最近育成された「Qなっつ」があります。
[畑の準備]
事前に1平方m当たり苦土石灰150gを菜園全体に散布して耕しておきます。深さ20~30cmの溝を70~80cm間隔で掘り、溝1m当たり化成肥料(NPK各成分10%)100gと堆肥2kgとを施し、土とよく混ぜ、溝を埋め戻します(図1)。窒素が多過ぎると「木ぼけ」し、実の付きが悪くなるため、野菜の後作では肥料を控えめに与えましょう。
[種まき]
土を盛り上げて幅30cm程度の畝を立て、種は25~30cm(「おおまさり」は50~60cm)の間隔で2粒まきます(図2)。鳥よけは、トンネル状にネットを掛けるか、不織布でべた掛けをします。また、釣り糸を上部に張ると、カラスは羽が糸に触れることを嫌うため、飛来を防ぐことができます。なお、畑の都合や鳥害回避のために、小型ポットで本葉2枚くらいまで育苗をしてから植え付けることもできます。
[灌水(かんすい)]
発芽までは十分与え、その後はやや乾かし気味にしますが、夏の乾燥は実の太りに影響するので灌水すると良いでしょう。
[土寄せ]
開花後に株元に土寄せをします。この土寄せは子房柄が地中に入りやすくするためです(図3)。
[病害虫防除]
コガネムシ類の幼虫が、さやを食害するときがあります。掘り取ったときに幼虫がいたら捕殺してください。次年度以降は、フォース粒剤などで防除対策をしましょう。
[収穫]
ゆで豆向き品種では、「郷の香」は開花期(株全体の半数に開花が始まったとき)からおよそ70日、「おおまさり」でおよそ85日のさやが十分に肥大した頃です。煎り豆向きでは、「ナカテユタカ」「Qなっつ」はおよそ80日、「千葉半立」はさやが膨らみ、網目がはっきりと見えた95日頃で、中の豆の皮が茶色に着色しています。
[食べ方]
電子レンジを利用した、煎り方を紹介します。乾燥さや50gを耐熱皿に並べ、500Wで1分半加熱した後、攪拌(かくはん)し、再度1分間加熱後攪拌し、さらに500Wで1分間加熱します。加熱の過程でかき混ぜることで、煎りむらを少なくできます。電子レンジの出力を低く設定し、加熱時間を長く取ることでも煎りさやができます。また、むき身では、水に10秒ほど漬け、紙封筒に入れて50gでは500Wで3分程度加熱します。いずれも分量が多い場合は調理時間が長くなり、少ない場合は短くなります。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
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